「午前3時の無法地帯」(1) ねむようこ/祥伝社

午前3時の無法地帯  (1) (Feelコミックス)

午前3時の無法地帯 (1) (Feelコミックス)

表紙買い。実際読んでみたら、線がシンプルでまとまっていて、結構好きなタッチでした。
「夢」というものがあって(あるように思わされてきて)、それを自分の仕事というか生業にできたら最高なんだろうけれども、実際そうなっている人というのは少なかったりする。不本意ながらも「生活」の一部になってしまった仕事には、常に「やめてやる!」という気持ちが同居している。それがこのマンガの主人公であるももちゃんだし、そして僕もそうだ。そんなに意に沿わないならなぜ辞めないのか? というと、理由としてはまあ色々ある。タイミングの問題だとか、思い切りの問題だとか。要は勇気の問題でしょ? と言えなくもない。
だが、しかし。凡人の領域においては、責任感だとか職場の環境というのが結構大きくて、一度突っ込んだ足が抜けなくなってしまうということが多かったりする。いわれのない責任感を背負い込んで、抜けるに抜けられなくなったり。自分のことを認めてくれる人たちがいたり。小さいようだけれども、実はすごく大きなことに支えられて、生活のための仕事をなんとかこなしている。でもまあそれって自分を騙してるとも言えるんだけれども、それを許容するかが、動く人間と動かない人間の差になるんだろう。
ももちゃんも、イラストの仕事がしたいのになぜかパチンコのPOPのデザインをする会社に入っちゃってそういうことにすごく悩むわけだけれども、凡人なので今の自分を構成している周囲の環境のことを考えちゃって、踏みとどまってしまう。あー、しかしももちゃん可愛い。多賀谷さんもかっこよすなぁ。
雰囲気マンガなのですが、アクは薄いのでわりとおすすめ。まあこの巻で終わっとけば良かった、ということになりそうな気もしないでもないですが。
ちなみに、タイトルの午前3時というのは、デザイン会社の職場が徹夜モードに入って、ハチクロの山崎みたいなオッサンがフルチンになるからです。