「ももんち」冬目景/小学館

ももんち (ビッグコミックススペシャル)

ももんち (ビッグコミックススペシャル)

やっぱり冬目景は1巻程度のボリュームなら、そこそこ読ませる漫画を描けるんだなと確信。今更気づいたのかよって感じですが。「ハツカネズミ〜」、「幻影〜」は尻すぼみだっただけに、「イエスタ」はきっちり完結させてほしいよなぁ。なんか無理そうな雰囲気は漂ってるけれど。
ストーリーとしては、少女の、日常の中での静かな成長を描いた心温まる内容(「ZERO」のとんがった間尾さんが懐かしいです)。桃寧はずっとひとり相撲を続けていて、最後の最後でやっと相手と組み合ってみようという決意を固めて行動に移した、というのはまあいいのだけれど、それは松下が画集をくれたからというアクションがトリガーになっているわけで、結局は彼女は受身体質を脱しきれていないのは悲しいところ。
1話ラストにおける、

結局、わたしは家族に護られてる

わたしの自立はまだまだ遠いのかもしれない

というのは最後までそんなに変わっていない。
桃寧は桃寧の中の小さな世界における、わりと大きな変化の中でひたすらもやもやしながら日々をすごしていくだけで、そもそも自分の持ち物に対する変革の意思を持っていないというのは、まあ「イエスタ」とわりと共通しているところか。深く掘りすぎず、さらっと触れてみせるものの、本当にたいしたことない内容なのは、少し物足りないけれど。
ちなみに、仲良し三人組の一人である夏樹は彼氏ともども「イエスタ」の5巻に登場してますね。ということで、桃寧が通っている予備校は、「イエスタ」において浪と滝下が通っているものと同一なわけですが、時系列的には1年くらい後の話なんでしょう。たぶん。どうでもいいけれど、桃寧は小悪魔属性がないので、個人的にはハルちゃんには遠く及ばないものの、主役級女性キャラにしてはわりと表情豊か。その辺は、かなり意識的にやってるような気がする。キャラの印象付けの面から言えば当然なのだろうけれど、桃寧が色々表情を変えていくのは割と面白かった。
ちなみに5/8発売のBJ魂はブックカバーつき。
http://bj.shueisha.co.jp/spirits/index.html