村上かつら短編集 1/村上かつら

いつまで経っても感想を書かなさそうな自分がいるので、さっさと書きつけておこう。とは言え、初読ではないので、わりと裏を読もうとしてしまっているのだけれども……。
「天使の噛み傷」と「99夏あたし15歳」はそのまま「サユリ1号」の原型になっている話(なのだろう)で、モチーフもほとんど一緒。長編用に、二種の要素を組み合わせているというのが正しいのだろうけれども。それにプラスアルファがあるからサユリは良い。
「天使の噛み傷」ですげぇと思ったのは、ノートの切れ端を交換するシーン。そもそも、3話まではつまらない、というか、痛々しいシーンが続くので首をかしげながら読んでいたのだけれども、4話の教室のシーンで全部ひっくり返った。そのあとの土手のシーンもかなり良いんだけど、やっぱ若書きだなあ、と思う。悪くはないけど。
「かさぶた」と「さよなら奇跡」は面白いけど、突き抜けたところはなかったかな……。後者の設定が微妙すぎる……。
一番良かったのは「はるの/よるの/ようだ」で、それについては書いた(http://d.hatena.ne.jp/kazuna/20041006#p6)ので割愛。

面白かったし、これからも期待させてくれるけど、「CUE」と同時に出すべきではなかったかもしれないな、とも思った。