「将軍たちの夜」ハンス・ヘルムート・キルスト/角川書店

将軍たちの夜 (角川文庫)

将軍たちの夜 (角川文庫)

★★★
第二次大戦下のドイツ軍を舞台にしたサスペンスもの。典型的風見鶏権威主義者の大将に、市民出身の中将やら、SSの基地外将軍やらが絡んで大騒ぎ。権威に隠れた娼婦殺害事件の犯人を追い詰める過程を描く。これはごく単純化してしまうと、いわゆる暴力・権力(悪)対義務・良心(正義)の構図になっている。ナチスに対する言及というのがあまりにも浅いのがひっかかるものの、戦後ドイツの分裂性を表象する部分を率直に書いている部分のは面白かった。安彦良和の表紙がないと多分買ってなかった一冊。