「精霊たちの家」イサベル・アジェンデ/国書刊行会

精霊たちの家

精霊たちの家

★★★★
ヒースクリフも真っ青な暴力と愛情の同居する男エステーバン・トゥルエバとその一族の話。およそ100年に渡る年代記的記録であるが、まあ「百年の孤独」とは若干ベクトルが異なっていて、現実の政治体制による軛をかなり直接的に反映している。マジックリアリズムを感じさせるのは、クラーラの超宇宙的な能力くらいなもので、他はかなりまっとうな設定である。濃密さをもって紙幅を占拠する一族の物語はほんとうに面白い。