「国道の謎」松波成行/祥伝社

国道の謎 (祥伝社新書 160)

国道の謎 (祥伝社新書 160)

★★★
なんでこの道が国道指定されているのか、されていないのか、地図を見たり、実際に走ってみたりすると、そういった疑問を抱かれる方もいると思う。そんな疑問に対して、道路行政史という観点から答えてみました! という一冊。著者は国道関係のサイトでは有名な方で、市井の研究者と言ってもいいくらいには資料を読んでいるし、取材はかなりしているんだろうが、断定を避けたがゆえの推定調があまりにも多すぎるのがひっかかる。そりゃ安易なことはしたくないし、できないのだろうけれど……。語り口がですます調で、何だか馴染めなかったこともある。が、それさえ気にならないのなら、疑問については一揃いの回答が与えられているし、350P超の大ボリュームにも満足できるはず。できるはずだが、若干退屈か。
個人的には文学史・地方史等を踏まえてディープに突っ込んだ歴史的街道の解説書がでないかなぁ、と思っているのだが。「道」という観点から歴史を読み解く、アナール学派的なアレで。そういう意味ではこの本の著者のサイトのメインコンテンツなんかの延長線上で何か一冊書いて欲しいなあ、と思う。