「鈴木先生」(7) 武富健治/双葉社

鈴木先生(7) (アクションコミックス)

鈴木先生(7) (アクションコミックス)

お笑い道徳劇場。
鈴木裁判の話は、何巻かの後書きにあったとおり、「カラマーゾフの兄弟」を髣髴とさせるような狂騒曲的な展開・演出で、絵がそれにぴたりとはまり込んでいる。文字を追っていくと真剣な議論の展開を捉えられるのに、一方でビジュアルにおいてはその深刻さを(意図的ではないにせよ)回避してしまっているところは、読み手が漫画の中で醸成されていくある種の結論的方向に安易に同調することなく、一定の距離を保てるような、読み手自らの結論を考えてほしいという、武富健治の配慮なのではないか?とすら思える。
作中人物の過剰なまでの感情表現、反応は、「鈴木先生」の世界を「ありえそうなシチュエーション」とすることを否定し、「鈴木先生」という作品の中にのみ固定することに成功しているように思う。
しかし、足子せんせえ……。漫画を読んでいて久々に爆笑してしまった。深刻な話なのに、足子百面相は卑怯です。