「吉田家のちすじ」(1) 中島守男/講談社

吉田家のちすじ(1) (アフタヌーンKC)

吉田家のちすじ(1) (アフタヌーンKC)

最高。ちょいエロ漫画の王道ここにあり。
表紙のムチムチした女性がひたすらセクハラを受けまくるだけの漫画だが、たまらん。ちょっとたるんだ腹や太もも、主婦という属性がもたらす生活感、そしてこれらが相まって多香子というキャラクターを大変に色気のある存在に仕立て上げている。いやー、ムチムチっぷりがたまらん。
この漫画の帰結にはセックスがない。セックスがないことによって、逆にエロい。夫、義理の息子、義父、義祖父(と呼ぶのだろうか)、という吉田家にあって、30歳という女盛りの多香子という存在はもう欲望の対象でしかない。セクハラをめぐる社会的な言説やら何やらはこの漫画の中では一切省みられず、多香子自身もこの絶え間ないセクハラへの心底からの反発というのを抱かない。セクハラ(もしくは作者視点からの欲望)に対するリアクションの引き起こすオチというのは常にある程度のおかしさを担保されていて、悲惨な雰囲気への破裂を回避している。こういう漫画は明るく、可笑しみがあってこそ成立するのだということを、今更にして気づかされた。当たり前のことなのだろうけれど。
セックスが世の中に溢れすぎてしまっている。だからこそ、セックスなんて排してもいいのだろうし、それこそある種の性癖に特化してしまっても問題ないのではないか。エロ漫画を読んでもエロゲーを読んでもセックスセックスで、僕という人間はセックスメディアにアクセスしすぎて感覚が麻痺しているのかもしれない。「キミキス」をエロゲにしろと何千回も頭の中で主張し続けてきたが、必要ないかも。ああ、そのうち買おうかな。