「誰がパロミノ・モレーロを殺したか」マリオ・バルガス=リョサ/現代企画室

誰がパロミノ・モレーロを殺したか (ラテンアメリカ文学選集 6)

誰がパロミノ・モレーロを殺したか (ラテンアメリカ文学選集 6)

★★★☆
惨たらしい姿で死んでいたパロミノ・モレーロは誰に殺されたのか。それを探るべく、警官のリトゥーマとシルバ警部補は調査を始める。やがて、パロミノ・モレーロは兵役が免除されていたにも関わらず、志願して軍に入ったことがわかる……。推理小説なのだけれども、これはあくまで体裁の話なので注意。読む人いないと思うけれど。
わりと好き。だけれども物足りない。そんな感じか。真相解明のあたりを読むと、構成力はやっぱり頭抜けてるなと思わされるのだけれども、全体的にパンチが不足している感がある。それでもシルバ警部補が最後にどんでん返しを食らうところなどは、面白く読める。多用な読みを許容する「だけ」の小説というのは好きではない。と言うのも、当たり前の話だが、それに耐え得る構造を持つ以上に物語としての魅力こそがまず重要だからだ。まあこの小説は一応物語としても面白いのでその点としては問題ない。ただし中篇なんだよね。
まぁ、1,680円の本だってことを考えるともうちょっと盛り上げてよという感じもしないでもないけれど、そもそも小説の価値判断に流通価格を混ぜ込んでしまう貧乏精神がだめです。