「狼たちの月」フリオ・リャマサーレス/ヴィレッジブックス

狼たちの月

狼たちの月

★★★☆
スペイン内戦下における、あるレジスタンスの一員を描いた小説。物語内部で内戦が意味するものは分断だ。スペインに住むものたちの分断、家族の分断、そして仲間との分断。ちょっとこじつけっぽいけれど。主人公とその仲間たちは反フランコの闘争に身を投じるも、最終的には生まれ育った土地に潜伏する羽目になる。ごく狭い範囲での闘争であるのにもかかわらず、この孤独と隔絶の深化に伴う寒さは恐ろしい。