「町でうわさの天狗の子」(1) 岩本ナオ/小学館

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)

現在旬な漫画家といえば岩本ナオ(僕だけの認識かも)ですが、初の長編。「スケルトンインザクローゼット」は短編集、「yesterday,yes a day」は一巻完結だったので、(1)という後引く感じはこの人にしては新鮮。
天狗の子として生まれた主人公の秋姫は、力が人より少し強い(2t車持ち上げるのを少しというかは別として)以外はなんら変わったところのない普通の女の子。秋姫の好きな人は天然入ったタケル君。幼馴染の瞬は天狗になるべく修行中だが、秋姫の高校入学に伴い、町の外に出てしまう師匠の娘の目付け役として同じ高校に進学。仲の良い友達から、男女関係への意識、発展の過程がきわめて岩本ナオ的なスローテンポで展開される。でも、それは正直言って物足りない。もっと面白くなりうるポテンシャルを持っている書き手だからだ。ただ、親友のミドリへの関わり方の中で、「うっとうしいかな」と思われるくらいに感情を表していくことでの友情の深まり方というのは、この人ならではで大変良かったし、これからに繋がるんだろうなと感じた。
それはそうと、羽海野チカの名前が載ったオビのウザったさは異常。毛嫌いしすぎなんだろうけれど、なんか見ただけで嫌な気分になる。