「象牙色の嘲笑」ロス・マクドナルド/早川書房

象牙色の嘲笑 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-3)

象牙色の嘲笑 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-3)

「ぼくは正しいことを発見できた場合は、正義の味方です。それがわからないときは、負け犬の味方になります」
pp.173

一人称が「おれ」になっていること、会話では「ぼく」になっていること、これが何となくアーチャーの乾いた感じを結果的に抑制してしまっているような印象になっている。やっぱりアーチャーだったら「私」で、第三者を強調するような観察視点が必要なんではないかなと。その方が、人と人の間に入り込んで、過去から現在への根を見つけるという「探偵」らしさにあふれていると思うし。
そんなわけで、話としても訳文としても微妙。ロスマク好きなら楽しめますが。