「嘘から出たまこと」マリオ・バルガス・リョサ/現代企画室

嘘から出たまこと (セルバンテス賞コレクション)

嘘から出たまこと (セルバンテス賞コレクション)

★★★★
リョサの小説評論集。と言ってもそれほど堅苦しいものではなく、リョサの小説論をベースに、名作小説を読み解いていくといった趣である。対象となっている作品を読んでいれば、リョサの小説論をより深く読み取ることができる。もっとも、リョサの論法自体も難解ではないから(言としては)、それをベースに未知の作品へアプローチすることもできる。格好の読書案内とも言える。リョサはこの小説をこう読んだ、ということがわかるだけでも、かなり新鮮。ハードカバーなんで敷居は高いですが、大変面白い。モームの「世界の十大小説」、ナボコフの「ヨーロッパ文学講義」のようなものか、後者は読んだことないけれど。
本書では以下の作品が取り上げられている。出版社名は適当、○つきは僕が読んだことがあるもの。

  1. ジョゼフ・コンラッド「闇の奥」/岩波書店、光文社 ○
  2. トーマス・マンヴェニスに死す」/岩波書店 ○
  3. ジェイムス・ジョイス「ダブリンの市民」/福武書店、新潮社 ○
  4. ジョン・ドス・パソス「マンハッタン乗換駅」/中央公論社
  5. ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」/角川書店 ○
  6. スコット・フィッツジェラルド華麗なるギャツビー」/新潮社 ○
  7. ヘルマン・ヘッセ荒野のおおかみ」/新潮社
  8. アンドレ・ブルトン「ナジャ」/白水社
  9. ウィリアム・フォークナーサンクチュアリ」/新潮社 ○
  10. オルダス・ハックスリーすばらしい新世界」/講談社
  11. アンドレ・マルロー「人間の条件」/新潮社
  12. ヘンリー・ミラー「北回帰線」/新潮社 ○
  13. アイザック・ディネーセン「七つのゴシック物語」/晶文社
  14. エリアス・カネッティ「眩暈」/法政大学出版局
  15. アーサー・ケストラー「真昼の暗黒」/岩波書店
  16. グレアム・グリーン「権力と栄光」/早川書房
  17. グレアム・グリーン「情事の終り」/新潮社
  18. アルベール・カミュ「異邦人」/新潮社 ○
  19. ジョージ・オーウェル動物農場」/角川書店 ○
  20. アルベルト・モラヴィア「ローマの女」/角川書店
  21. アレホ・カルペンティエル「この世の王国」/水声社
  22. アーネスト・ヘミングウェイ老人と海」/新潮社
  23. アーネスト・ヘミングウェイ「移動祝祭日」/新潮社
  24. ジョン・スタインベックエデンの東」/早川書房
  25. マックス・フリッシュ「ぼくはシュティラーではない」/白水社
  26. ウラジーミル・ナボコフ「ロリータ」/新潮社 ○
  27. ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ「山猫」/岩波書店 ○
  28. ボリス・パステルナーク「ドクトル・バジゴ」/岩波書店 ○
  29. ギュンター・グラスブリキの太鼓」/河出書房新社
  30. 川端康成眠れる美女」/新潮社
  31. ドリス・レッシング「黄金のノート」/エディ・フォア
  32. アレクサンドル・ソルジェニーツィンイワン・デニーソヴィチの一日」/新潮社 ○
  33. ハインリヒ・ベル「道化師の告白」/冬樹社
  34. ソール・ベロー「ハーツォグ」/早川書房
  35. アントニオ・タブッキ「供述によるとペレイラは……」/白水社 ○