「インシテミル」米澤穂信/文藝春秋社

インシテミル (文春文庫)

★★★
文庫が出てたので買ってみたというか、文庫じゃないと買わないし読まない。
ハードカバーは西島大介の表紙だったのは覚えていたので、なんとなく小市民シリーズみたいなゆるーい話なのかと思っていたらそうではなくて、人は死ぬわ館モノだわなんだわで今まで読んできた米澤作品とはかなり違った印象。僕はミステリはあんまり読まないし、読んだとしても推理そのものには全く興を惹かれないので、こうなるのかもしれないが、この作品の感想を一言でいうと「こんなものか」。僕が古典部シリーズや小市民シリーズその他を読んできてよかったと思った部分がほとんど意図的に殺されているので、何だかなあと思うのは当然のことだろう。キャラクター小説の文法に則って書かれた小説の印象が強すぎて、そこから抜け出せないのは不幸なのかもしれないが。ラノベと一般のあいだくらいの感じが一番いいと思うのだけれどなあ。「さよなら妖精」みたいなのはいらないけれど。
推理の展開自体は面白く読めたけど釈然としないからなんかイヤだ。まあそんな感じ。