「白の民俗学へ」前田速夫/河出書房新社

白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って

白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って

★★★★
面白い。
白山(しらやま)神社というものがある。白山比竎神を祭神として、日本全国各地に勧請され、今なおその姿を残している。白山は石川県にある山で、日本三名山の一つだが(残りは富士山、立山)、他の二つに比べ圧倒的にその信仰は広まった。それはなぜか、というのを足がかりとして、音韻の重なりや語の変化、神話類型など民俗学的な見方を通して、この信仰とは一体何なのかを明らかにして行こうという試み。妄想が多分に入り込んでいるので、面白い部分と面白くない部分が混じっているが、それにしたって中々エキサイティングな一冊である。
聖なるものと汚穢が本来は一体であったということは、今となってはごく当たり前の話で、その分化の過程も同様である。日本においても結局は同じことで、それが被差別民を生み出していくことになるのだが、彼らの神として白山神が信仰されていた事実は面白い。そこから色々と類推していくのは知的遊戯としての魅力としてはかなり強いものがある。
まぁ、民俗学は全然詳しくないので、あくまでも読み物としての面白さ、という評価ですが。