「ブラック・ボーイ」上下 リチャード・ライト/岩波書店

ブラック・ボーイ―ある幼少期の記録〈上〉 (岩波文庫)

ブラック・ボーイ―ある幼少期の記録〈上〉 (岩波文庫)

ブラック・ボーイ―ある幼少期の記録〈下〉 (岩波文庫)

ブラック・ボーイ―ある幼少期の記録〈下〉 (岩波文庫)

★★★★★
素晴らしい。
第一次世界大戦前後のアメリカ南部において、「黒人」が人間らしく生きるということがどんなに過酷で困難なことなのかということが、身を切るような辛さとともに染み入ってくる。そんな単純な話ではないのだけれど、この小説で書かれていることはけして特別な状況でもなく、身近に存在しうることなのだということを意識しなければならないし、差別というものがどういうものなのかということに少しでも近づくための良い手段になるだろうと思う。
改版してくれた岩波に感謝。多分今まで品切れだった気がするし、おそらく本屋で見かけなければ買わなかっただろう。古本屋で岩波をあさることはあんまりないだけに。