なんとなく「運命」を再読。

ロスマクの。

「俺は君を憎んではいないよ、反対だ」
私はかつて警官だったので、この言葉はやっと出てきたのだった。しかし私はそう言わなければならなかったのだ。この世には善人と悪人しかいないという考え、そして、もし善人が悪人を監禁したり、小さな個人的な核兵器といったもので根絶やしにすれば万事太平だというような昔からの社会通念に対して、今後も戦っていくことを望む限り、私はそう言わなければならなかったのだ。
それは非常に慰めになる考えだったし、己の自我を力づけるものだった。何年となく、私は自分の活動を正当化するためにその考え持ち出してきた。拳銃に対して拳銃をとり暴力に対して暴力を振るい、人が死んだときは道化の役回りを引き受けたりした。いくぶん偏執狂的な悪の密林に活躍するいくぶん現実的なターザンというところだった。その無毛の土地の類人猿は、姿が見られるのだ。