「ウランバナ」 勝田文/集英社

ウランバナ (クイーンズコミックス)

ウランバナ (クイーンズコミックス)

勝田文の漫画は読んでいて心地良い。嫌味がなくてそれでいて、親近感が持てる。登場人物に強い人間はいない。どこか抜けていて、一人では生きていけないくらいに弱いひとびと。自分は「誰か」に頼り切ってしまっていいのだろうか? という問いを胸に、その決断までの過程を、勇気ある一歩を踏み出すまでの道のりを、丁寧に優しく描く。
どこか三枚目臭のする優男は相変わらずのご登場。表題作は読ませる。読ませる。人が不幸にならない、優しい気持ちになれる漫画は大変に貴重だ。本当に。
同時発売の「ちくたくぼんぼん」1巻は個人的には微妙。あんまり長く引き伸ばす設定でもないなと。やはりこの人は単行本一冊程度のお話を描いてこそ、味が生きるんじゃないかなと思う。味ってなんやねん、という話ではあるが。