「鈴木先生」(8) 武富健治/双葉社

鈴木先生 8 (アクションコミックス)

鈴木先生 8 (アクションコミックス)

鈴木先生」という作品の最大の肝は、極端な戯画化により読者と作品の間に明確なラインを引くことであり、今回もそれが踏襲されている。この形式を構築する際に、ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟」を参考にしているのだろうなあ、というのは何巻だかの解説にあったとおり。
感情が人間を悪鬼にすら変貌させる、そんな描写は過剰すぎるきらいはあるものの、その根っこのところにあるものを想起すると、案外と納得がいくものであるし、議論自体を阻害するものではない。