「ストロボライト」青山景/太田出版

ストロボライト

ストロボライト

おお、「SWWEET」を描いた、あの青山景は死んでなかった。「チャイナガール」のシノギっぷりはひどかっただけに安心いたしました。しっかしまあ、小難しいの描いたなあ……。
フツーの青春モノだと思って読むと肩透かしを食らうものの、考える材料としては割りとよいかも。ただし、あまりにも不親切な構成をしているので、はっきり言って一回最後まで読み通した上で再読しないと面白くないのはいかがなものかと。てか、これを連載で楽しみに読めた人はすごいと思う。
実和子が言うとおり、この漫画において、現在と過去というのは相補関係にある。一方向に流れるクロノロジカルな歴史は存在せず、今ここにある現在とそこから派生するかのごとく生まれる(つづられる)過去との円環しか存在しない。過去によって現在が改変され、その過去を生み出すのは現在そのもの。過去において登場人物の行動は「過去完了」のように、すでに終わってしまったことからしか語られない。そして終には、過去と現在の互いに足し引きを繰り返す関係性はゼロになって消滅し、また新しい物語が始まる。このゼロ地点こそが、本作を物語るために導入されているメタテクストな視点で、作者と読者に許された居場所なのかなと思ったが、無理やりそんなふうに読まなくてもいいような気はする(単純に第三者=神視点でよいのか)。
しっかし、アレだ。実和子は本当に可愛い。メガネだし、眼ぇ細いし。作者も明らかに肩入れしてるから当然っちゃ当然。