「へうげもの」(9) 山田芳裕/講談社

へうげもの(9) (モーニング KC)

へうげもの(9) (モーニング KC)

モーニングに載ってないと大金時がしぼみます。
織部による利休の死は、秀吉における信長殺しの反復のような気がするが、これは二人の差異を一層際立たせる。織部にとっての利休は理解すら及ばないレベルの超人的傑物であり、神聖不可侵な神のごとき存在だった。秀吉にとっての信長もまた神に等しかったが、己の覇業というのは結局のところは神の御業の出来損ないに過ぎないことを強く意識していた。だからこそ、朝鮮征伐の蹉跌は重くのしかかった。乗り越えられない存在としての信長を背負ってしまった秀吉と、乗り越えるものではなく己が価値を別に築き上げることによって並び立とうとする道を選んだ織部は似ているようで全然違うように思う。