「へうげもの」(8) 山田芳裕/講談社

へうげもの(8) (モーニング KC)

へうげもの(8) (モーニング KC)

この漫画の利休が素晴らしいのは、理想に燃える侘びの求道者でありながら、大げさきわまる喜怒哀楽の触れ幅をもってして、神と人間の間をいとも容易く行ったり来たりするところか。左介と利休は、理想とするところの理念は同じでも、その立ち位置の違いから、苦しみの中身が異なり、そして身の処し方も異なる。人が個人として生きるということがいかに難しく、そしてつまるところは身分や生業から離れられないのだということを、折に触れて垣間見せられると、切なくなる。