「群青学舎」(4) 入江亜季/エンターブレイン

群青学舎 四巻 (BEAM COMIX)

群青学舎 四巻 (BEAM COMIX)

それは、まるで夢のような世界。確かなものは人の気持ちだけ、他のすべては夢幻のように不確かで、その存在理由を必要としない。そんなある種の心地よさを受け容れるか否か、という点に、この漫画の全てがかかっているという気がする。今のところの入江亜季の代表作にして、ファンアイテムになってるのはどうかなという気はするが。オムニバス形式で、入江亜季の漫画実験を楽しむというコンセプトなのだろう。収録作は良くも悪くもバラつきが大きく、お世辞にも全てが良いとは言えないが、惹きつけるものがあるのは確かだし、この人の描く猫っぽい女性はたまらんので、これからも描き続けてほしいです。あと、折込のペーパーでFellows!に載ってる連載のことが書いてあったけれども、あれはどうなのかなあ。群青みたいに「キャラ」で引っ張らない漫画であってほしいと思う。なまじある程度は描き分け分けができるだけに、キャラ頼みの印象が抜けないんだよな。
今回は「コダマの谷」のニール・ライダーとマージのその後の話が"なぜか"出てきているが、これは出展元を読んでいるとわりと楽しめる話だった。ちなみに例のごとくバックグラウンドが欠けてる漫画ではあるものの、「コダマの谷」を読んでいたので、勝手に補完してくれた。けれどもまあ、これは不親切。マージが可愛いからいいけどね! 「ピンク・チョコレート」の話は引っ張りすぎな気がする。ウケがよかったんだろう。「七色〜」はコテコテの古臭さはあるが、悪くない。親の愛、家族の愛についての話で、その構成はストレート過ぎるきらいはあるけれど。「スパイ・アンド・スパイ」はどこのハンプティ・ダンプティだよ、とw
最終話の「本日はお日柄も良く」が一番良かったかな。雰囲気漫画の面目躍如という感じ。
各巻感想リンク(ためにならない感想だし、わけわからんこと書いてるけれど)