「まりあほりっく」(1-4) 遠藤海成/メディアファクトリー

まりあ・ほりっく 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく 2 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく 2 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく3 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく3 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく 4 (MFコミックス アライブシリーズ)

まりあ・ほりっく 4 (MFコミックス アライブシリーズ)

アニメがわりと面白かったんで、買ってみた。メディアファクトリーの漫画はどーなんだろう、というバイアスがあったものの、読んでみたらアニメがかなり忠実に原作の雰囲気を再現していたらしく、違和感なく読めて、そして面白かった。
マリみて」のリリアンみたいな超お嬢様学校に転入してきた祐巳じゃなくて宮前かなこが出会った年下の超美少女は、実は男だった。性格最悪の女装男の魔手に落ちたかなこの奇妙な日々が始まる……、みたいな話。
全体的な雰囲気としては、白泉社系ラブコメ漫画なんだろうと思う。類似傾向のある作品は「女子妄想症候群」(もしくは「ホスト部」)だと思うんだけれども、まあ賛同は得にくい見解かと思いますが。時折、センチメンタリズムに酔っ払ったような挿話があるので(隆顕の話、鞠也と前理事長・茉莉花の話は特に)、その辺はどーなのかなぁという気はするものの、コメディものとしては楽しめるかと。まぁ、女子学園という秘密の花園の様子を描写するというよりは、絶海の孤島の変わった生態系の描写という感じになってしまっていることには、せっかくの設定を生かせていない気がしますが。
かなこの性的嗜好である百合趣味については、かなこ本人が「秘するもの」という考えを持つと同時に、鞠也からも「アブノーマル」だの「変態」だのと、批判的(というか茶化すような)視点が序盤には入っていて(かなこ=変態が当たり前になってからはなくなる)、特異さの世界内における一般化がなんとなくメタ的。用法違いますかね。まあこれは同様に鞠也の女装について、茉莉花からは「変態野郎」という言葉、かなこはその女装姿の愛らしさに思わず鼻血を垂らす、という差を何回も作中に持ってきていることとほぼ同じで、常にある種の客観性(のようなもの)を保持しようとしているのかなという気がする。悪く言うと作品外の視点をかなり意識しているというか、まあそんな感じ。
作中人物はいろいろと萌えオタク的な属性を兼ね備えたキャラクターばかりで、かなこも百合属性に加えて、そういった趣向を理解することができるため、結局は性的対象として相手を見ることができるという点では、「らきすた」のこなたが女子高生の皮をかぶったオッサンだったのと同じかなと思いますが、違ったのは作者が女だったこと(隆顕の話を読むまで、男だと思ってた)。前に書いたように、センチメンタリズムに酔っ払ったような話が途中で入っちゃうところが、この漫画をちょっと違った味にしているのかなー。「ホスト部」はウジウジとやりだしてからものすごくつまらなくなったので(その点で「女子妄想症候群」は最後にウジウジやってから、すぱっと終わったので良かった)、ほどほどのバランスで続いてもらえれば長く楽しめそうな気はする。