「嵐が丘」エミリー・ブロンテ/新潮社

嵐が丘 (新潮文庫)

嵐が丘 (新潮文庫)

★★★
小説の構造とか対称関係とか、キャサリンは結局アーンショウになっちゃうところとか、そういうところは楽しめるんだけれど、肝心の「語り」がイマイチだった。妙に軽くて、その上読みづらいという訳文も一役買ってはいるのだろうけれど。話の内容じゃなくて、技法とかそういったものについての読み込みの余地はかなり広いんだろうなと思いました。その点、伊達に名作呼ばわりされてないなと。ストーリーはちょっと受け付けませんでしたが。
しかし、ヒースクリフとキャサリン(初代)に勝手に抱いていたイメージは見事に崩壊した……。ヒースクリフがただのバイオレンス中年になったのはいいが、あんまりにもひどくて入り込めなかった。あと、ヒースクリフの失踪中の年月のこととかも書いて欲しかったな。詮無いことだが。
しかしこれを女子高の演劇でやるのか。まあセックスがないからいいんだろうけれど。