「群青学舎」(2) 入江亜季/エンターブレイン

群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)

群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)

どうせこの漫画は好きな人しか買わないだろうから、買った人ならわかりそうなことだけ書きます。まぁ、一巻買ってよかったと言うなら、買いだと思う。
で、「北の十剣」みたいなのは同人誌でやってくれよ……、とつくづく。最後まで読み通すのが苦痛で仕方がなかった。雰囲気だけのための舞台設定で、そこを補強するためにある程度までの「細部」というのが全くない。多かれ少なかれ「細部」が物語には要求されるのですが、それが欠けてるために導入部分からずっこけている。別にそれが該博な知識に裏打ちされた〜、といった類である必要は全くなくて、作者の中の世界観(その世界に一貫している論理性の表明)を披瀝することに意味があるんだけど、それがない。あくまでドラマを中心に漫画を展開しようとするから、キャラクターの背後があまりにも薄っぺらくて、せっかくのキャラ同士の関係もまた薄っぺらい。物語のパターンは基本的にどのような舞台であっても適用可能なレベルにまで分類は可能だと僕自身は思っているので、その一般性をさも特殊であるかのように補強して見せるのが作者の仕事というか腕の見せ所なのに、そこを雰囲気だけでサボってるから五ヶ月かかっても話がオチないという漫画になったのだと思う。
http://d.hatena.ne.jp/kazuna/20060908#1157709911
↑には似非リアリズムがあるみたいなこと書いたけど、ないなあと今回は思った。前回にあったかどうかは1年位前のことだから覚えてないってことにする。
けど「時鐘」みたいに結構いい話も描けちゃう人だから、見切れないんだよな……。青春の瞬きというものを上手く切り取ってると思うので、個人的にはこの話だけ読むにしても700円程度の価値はあったかと。「ニノンの恋」も割とよかったかな。