「ミスター・ヴァーティゴ」ポール・オースター/新潮社

ミスター・ヴァーティゴ (新潮文庫)

ミスター・ヴァーティゴ (新潮文庫)

結局のところこれはビルドゥングスロマンなので、ニューヨーク三部作や、「孤独の発明」や「リヴァイアサン」、「ムーン・パレス」のノリを期待すると肩透かしを食う。かと言って、「偶然の音楽」の類なのかというと、微妙に違う。ただし、主人公が過酷な目にあうのはやっぱりオースターだなあと。まあ特に感想はない。こういうのもたまに読むといいよねという程度で、積極的に読もうとは思わないな。

「さて」と師匠は言った。「どう思う、この穴?」
「すごい穴ですね」と俺は言った。「こんなに深くて綺麗な穴、見たことがない」
pp.62