「絶対の探求」バルザック/岩波書店

「絶対」の探求 (岩波文庫)

「絶対」の探求 (岩波文庫)

化学合成ってお金がかかるんだねえ、という話ではないが、何かに取り付かれて他の事が見えなくなると、こうなるんだろう、という姿。愛していた家族のことすら眼に入らず、ただひたすらに「絶対」を探求する。バルタザールは狂人なのだが、狂人が時折我に返ったときに見せるあの美しさというのは、何者にも耐え難いのだろう。どうしようもないほどに狂っているのならば、諦めがつくのだ、きっと。