「別れの顔」ロス・マクドナルド/早川書房

別れの顔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-5)

別れの顔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-5)

新年一発目。

「私は、人々の生活の中に入り込み、また出て行くのが好きなのです。一定の場所で一定の人間たちと生活するのに、退屈を覚えるのです」
p.174

アーチャーの立ち位置に対する端的な説明として与えられたこの台詞は、"リュウ・アーチャー"シリーズを読んでいくにつれ、深みを持った言葉として感じられるようになる。
推理自体は、相変わらずの入れ替わりモノだが、アーチャーが草むらを掻き分けるように人々の記憶に入り込んでいき、そこからパズルを完成に導いていく様には格好よさを感じる。