「プラットフォーム」ミシェル・ウエルベック/角川書店

プラットフォーム

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フランス人の中年男がレディオヘッドのTシャツを着てタイで買春してイスラム過激派によるテロにあう話、いや、厳密に言えば違うか……。しかしまあ、今回の主人公も「素粒子」と同じく、「世界に希望を持っていない人間」であるが、運命的な出会いをして結ばれて途中までは幸せなのが、ちょっと違うところ。
ウエルベックの問題意識によれば、現代欧米人は純粋な(だと考えられている)「関係性」を得ることができず、欲求不満なのであるが、それをひた隠しにしている、らしい。常に真実の愛のようなものを求めている(それが真実足りうるかは知らないが)、ただしエゴを拡大していってしまった西欧世界ではそれを得ることは難しく、逆にそれは「第三世界」でこそ得られるものとして描かれている。セックスを単純に楽しむということができる。このことを基点として、人間社会に横たわる砂漠を克服しようという試みを描いたしょーせつ、じゃないのかなたぶん。