「ももんち」冬目景/ビッグコミックスピリッツNo.10

冬目景にしては珍しく、「家族」のことを描いた漫画(まあ、「羊」も家族といえば家族だけれども)。主人公の桃寧が恋をして、失恋するという何ということはない話なのだが、それが上手く描かれている。
面白かった、というか、良かった。スピリッツを思わず買ってしまうぐらいに良かった。初期作品群のテイストが若干感じられるのがよかったのかも。この路線で、初期イエスタのテイストもきっちり交えていただければ今すぐ儲復帰なんですけれど。
この読みきりが良かったとは言え、きちんとイエスタ描いて下さい、と僕は思うのでした。最後のページに、シリーズ化するかも、とか不吉なこと描いてあるのは何かの冗談かと思った。まずは描きかけの作品を終わらせることからはじめてくださいよ。「黒鉄」はホントどうなったんだ……。
以下ネタバレ

結局、わたしは家族に護られてる

わたしの自立はまだまだ遠いのかもしれない

ちゃんとこの台詞を桃寧に言わせておくところが、この作品の肝になっているんだ、と個人的には思うんですが。家族ってあったかいね、という結論だけでおわらないところと、容姿などが幼い桃寧もそれほど子どもではない、ということをきちんと提示しておくという点で。