ハツカネズミの時間

4063143791ハツカネズミの時間 1 (1)
冬目 景
講談社 2005-05-23
密室脱出モノ、というと語弊があるんだけれども、やっぱりこれは密室モノであることに間違いはない。一度密室を脱出したはずの桐子が何で戻ってきたのか、というのが今後の焦点なんだろう。まあ、それはいいとしても、結局のところこの作品は物足りない(でもLUNOよりは断然よい)。何でかと言うと、「イエスタ」「黒鉄」「羊のうた」、それとそれ以前に発表された作品群が持っている叙情性みたいなもの(感傷的な雰囲気と言い換えてもいい)があえて排除されているからで、初期作品最高とか何とか言っている僕は読みながら戸惑ってしまうわけだ、と思う。以上、よくわかんない自己分析。作品に話を戻せば、ラインが二つ用意されているわけだから、上手く絡めながら話を運んでいかないと途中でぐだぐだになってしまう。それは過去の冬目作品が登場人物が増えれば増えるほどアレになっていくことからわかる。まあ信者の僕は今後も買いますよ、と。