墓を継ぐ

僕は基本的に血縁関係なんて紙切れ上の(そして生物学上の)つながりでしかないと考えているので、親戚といったものに対しては凄まじい嫌悪感を持っているのだが、昨日ほどそれを痛感したことはなかった。出来事に対する詳細は語らないが、色々と推測していただければ。そして、血縁で繋がった「一族」の墓を勝手に継がされることになっていたということが嫌気を倍増させてくれた(都心の少々いい位置にあるのが悩ましいが)。大した感慨もない人間と一緒に眠らなくてはいけないというのは考えると少し辛い。
大体、家族というものに「血」なんて要らないはずだというのが僕の持論で、必要なものがあるとすればそれは「思い出の共有」、もしくは「情」だろう。共有しているものが生物学上のものだけしかない親戚たちに対して、僕と彼らは他人であるという思いをいつまでも拭えない。父親ですら、僕にとってはほとんど他人に等しいのだから。
僕がたとえ何者であろうと、情の移ったものを愛するだろうし、共有する背景があるものを同類として見なすだろう。そういったあやふやなつながりでしかないものにすがってしまうのはどうにも辛い。そしてそれによる峻別も辛い。だからこそ、「血」という堅固に見えるものをかたくなに信じようとする人もいるのだろう。それもよくわかる。