つらつらと感想をば
- 作者: 平野耕太
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2004/12/27
- メディア: コミック
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- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: コミック
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あのころ、白く溶けてく―安永知澄短編集 (ビームコミックス)
- 作者: 安永知澄
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2004/12
- メディア: コミック
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本当に安永知澄はすごい! すごいとしか言えないのが癪ではあるが、本当にすごい。この人の漫画は基本的に差異性と理解の話なんだと思うが(でも本人が対談で言っているように、テーマは本当にばらばら)、そこに安っぽい結末を持ってこないところが逆に救われる。「ももこの禁止生活」は特に面白かった。絵柄が変えすぎだけれど。てか、安永氏、25歳ですか……(森薫氏と同い年)。若いなあ……。すげーよ。
- 作者: 安永知澄
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2004/12
- メディア: コミック
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以下適当に考証なし。
安永知澄の漫画を読んでいて思うのは、本当にやさしいということだ。第九話の「安倍夏緒」を読んでいてしみじみそう思ったのだが、異形に対する態度というものが偽善的でないし、アニメ/漫画のステロタイプではない。異形/異端と相対した場合、人は受容か拒絶のどちらかの態度をとることになるわけだが、受容の方向に動いた場合それは安っぽい同情や愛に還元されることが多い。また、アニメや漫画において異形や異端というものは、超越的な力として描かれることが多く、真性のハンディとしては描かれない。衆に抜きん出るという意味での異形性は、ある種のヒロイッククエストの一端として描かれ、最終的には昇華されることが多い(もちろん、されないものもある)。また、異形同士が寄り添うことによって共同体が発生し、傷の舐めあいであろうがなんであれ、癒しが当人に提供されてしまうために、苦しみだとか懊悩だとかは究極的には集団へ還元されていく。安永知澄が提供するものは「普通の人間(=私たちと同じ)」の異常性であり、異形を待ち受けるものは孤独であり、語り部が与えるものは(儀礼的)無関心と好奇心のない交ぜになった態度である。同情を与えるような残酷なシーンは全くなく、異質なものへの反応が正当に描かれる。こういうかたちがやさしいな、と思ったんだが、なんだか書いているうちにこじつけっぽくなってきたからここでやめ。