そんなこんなで「水没〜」読み終わり。

うーん……、結構面白かったけれどミステリーじゃないよなー。みんな思うんだろうけれど、帯に書いてあったので身構えて読んでしまった。で、最初はなんだこれまとまるのかよと思いながら読んでいたが、最後にすっきりまとまったので驚いた。それというのも「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のような物語の並列構造が最後にスパッとまとまる形(だったよなあ……、もう忘れたけれど)を参考にしているんじゃないかと途中で考えたにも関わらず、一向にまとまる気配が見えなかったので。まあ、三つの話の時間軸について種明かし手前までほとんど考えなかったからなんだけれども。全体の構造を支える手法はどうかと思ったけれど、構成はよかったのでいいか。
んで、ストーリーは結構面白いと思ったし、テーマもいい。でもオースターから引用しまくるのはやめて欲しかった(通俗的消費対象すぎるから、なんか合わない)。まー、それを言うとサリンジャーもなのだが、鏡家はグラース家をモチーフとしてるようなので致し方ない。せいぜい、窓を開けたらムーンパレスのネオンが〜、というので止まるべきだったよーな気がする。しかし、引用元が半分くらいしかわからなかったのが、くやしい(わらい
創士はわりと遅い登場だった上に、中盤あまり目立たなかったんで、某浅見光彦を思い出した。浅見光彦は中学で卒業しちゃったな……。高校時代は全く本を読まなかったし。「水没〜」は本読んどけばよかったと思うような小説でした。
やっぱり、この作者が好きな人は「青臭いことを恥ずかしげもなく書いちゃう上に、オタネタ混ぜてくるところ」そこに痺れる憧れるゥ! って感じなんでしょうか。なんか可愛らしさはあるかもしれない。
で、この人の文章スタイルって春樹が根っこなんだろうなあ、と思っちゃうのはダメ本読みなのかな……。というか、比喩がやたらと多い文章を見るとそう考えてしまうのは偏見か……。逆に舞城は自分の肥やしにしてきた本の根っこは春樹からという感じがした。文章も結構影響はあるような気がしたけど、個性が出てるからあんまり臭さは感じない。